「北方文化博物館」で柱合会議の舞台・産屋敷邸の空間を体感!《鬼滅の刃》

北方文化博物館「大広間 座敷」 アニメ

最終決戦の三部作の第一章となる映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、令和7年(2025年)7月18日からいよいよ公開となりました!
「映画が公開されるのは楽しみ~だけど、最終決戦にまでストーリーも進んできて、だんだんと終盤に近づいてきて寂しい・・・」と思ったりしています。そんな中、鬼殺隊のお屋形様の住まいである「産屋敷邸」を彷彿とさせる建物としても話題の新潟市にある「北方文化博物館」へ行ってきました。歴史や見どころなどについて、いろいろご紹介します。

ふかみどり
ふかみどり

思っていた以上に、居心地の良いところで、行ってみて良かった~です!

『鬼滅の刃』産屋敷邸のモデルとも言われる 新潟「北方文化博物館」

北方文化博物館

北方文化博物館。ここを歩いていくと正門の受付があります。

新潟市江南区にある「北方文化博物館」。越後随一の豪農・伊藤家の邸宅をそのまま展示した博物館です。近年では『鬼滅の刃』のお館様の屋敷のモデルでは?という話題でも注目されています。

現在は博物館となった伊藤家の本邸は、敷地8,800坪、建坪(建築面積)1,200坪、部屋数65にもなる純日本式住居になります。広大なこちらの邸宅は、伊藤家五代目の文吉によって、明治15年から22年まで、8年をかけて造られています。大工の棟梁の斎藤金蔵に、文吉は8年間の労苦と見事な出来栄えへの感謝として、祝儀とは別に田三反歩と山林三反歩(田 900坪と山林 900坪)を贈ったと伝えられています。

この邸宅では、五代、六代、七代の当主とその家族、そして多くの使用人達が暮らしていたそうです。終戦半年後の昭和21年に、七代当主により、遺構保存のため「財団法人 北方文化博物館」が創設され、その財産のすべてが寄贈されました。長年の風雪に耐え、当時の姿そのままに豪農・伊藤家の暮らしを今に伝えてくれるこの館は、平成12年4月に国の登録有形文化財に登録されています。
北方文化博物館「台所」

明るくて活気のある感じが伝わってくる台所。毎朝1俵(60kg)の米を炊いていたそうです。

北方文化博物館「囲炉裏」

16人が腰をかけられる大きな囲炉裏。

大広間 座敷 ──『鬼滅の刃』お屋形様の屋敷と重なる空間

北方文化博物館「大広間」

大広間 座敷。さわやかで美しい夏の庭を眺めました。

北方文化博物館「大広間」

大広間棟は、床の間をはさんで7つの部屋になり、畳の数は約100枚になるそう。

北方文化博物館「大広間」

小さい襖に描かれている鯉と植物のかわいい絵。引き手の部分もウリの実のような形でかわいいです。

北方文化博物館になる伊藤家の邸宅の大広間は、開放感があり、美しい庭園との一体感が見事です。こちらの大広間は、『鬼滅の刃』で炭治郎がはじめて9人の柱たちと会う「柱合会議」の舞台となる鬼殺隊当主の産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)が住む屋敷によく似ていると話題にもなっています。

大広間は冠婚葬祭など、特別な行事に年に数回使われたそうです。南側の庭園に面する雨戸は26枚になり、開けると左側の戸袋にすべて収まる見事な大工の仕事になります。東側にある大玄関は、柱、天井などすべて欅(けやき)造り。座敷の欄間のならびは、上から釣られている釣欄間になり、柱が1本もない贅をこらした建築様式です。

ふかみどり
ふかみどり

はじめて北方文化博物館に行ったのですが、特にこの大広間の(庭園と中庭にも面している)あたりは、居心地がとても良かったです。見事な景色です。
「柱合会議」のシーンが浮かんできましたよ~。

パワースポット ── 気を発する石

北方文化博物館「中庭」

中庭の風景。特に中庭の御影石がよい気を発しているそうですよ。

精神世界・スピリチュアル系の著作でも有名な船井総合研究所の船井幸雄会長は、生前に北方文化博物館に訪れていたそうです。著書『イヤシロチ』では、北方文化博物館をイヤシロチ(癒される場所)として紹介しています。
特に中庭の御影石が良い気を発しているとされ、北方文化博物館館長でもあった伊藤家八代目の伊藤文吉館長は、「昔の大工は良い気のある場所を見極めたもの。また先祖が積み上げた徳が気の力を強めているのだろう」と推測されています。
「船井幸雄.com」のコラムページでも、「代々そこに住む人々が徳を積むことで、その地が良い気のエネルギーの満ちる場所になる(人間の気持ちがイヤシロチをつくる)」と北方文化博物館が紹介されています。

船井幸雄.com|船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

大広間に掲げられている「君子居中庸(徳の高い人物は中庸の道を歩む)」、主屋2階の考古資料室に展示されている「倹以養徳(徳を養うには身を慎む)」とそれぞれ書かれた大きな額は、伊藤家当主の理念、家風を表し、「田地買うなら精々悪田を選び、悪田を美田にして小作に返すべし」という小作人を気使う家訓が大きな繁栄の基礎となっています。
「人々を襲って食べる鬼たちを、命がけで滅する」鬼殺隊の代々当主になる産屋敷家のお屋敷と、上記の家訓を持つ伊藤家の邸宅が、よく似ていると話題になるということに、なるほどと気付くところがありました。

大藤 ── 鬼が嫌う花が咲き誇る、幻想的な5月の光景

北方文化博物館「大藤棚」

7月にお邪魔をした時の大藤。花のシーズンは過ぎてしまいましたが、茂った葉の緑がきれいです。

北方文化博物館「大藤棚」

1つの木から、枝葉を広げる大藤棚。なんと畳80枚以上になるそうです。

樹齢は150年になる大きな藤の木。
藤は、長寿や繁栄の象徴であることから、伊藤家では藤の木を大切にしていました。1つの木の幹から枝葉を伸ばし、80畳以上に広がる大藤棚に成長しました。5月には香り豊かな、うす紫の花が満開となります。
令和7年の春からは、第二庭園の「八藤園」が開園されました。藤を愛した八代目の伊藤文吉にちなみ、白、紫、ピンク、混合、長藤などの八つの藤棚が連なります。5年をかけて作庭された500坪の庭園になります。

天狗の面 ── 小阿賀樋門に漂着した謎のお面

北方文化博物館「天狗の面」

平成19年11月末に、阿賀野川から小阿賀野川に流れる水量を調節する小阿賀樋門(こあが ひもん)で、国土交通省 阿賀野川河川事務所の職員が、ごみに混ざって、この天狗の面が漂着しているのを発見。秋葉警察署が拾得物として保管していましたが、保管期限を過ぎても持ち主は現れず、廃棄処分となるところに、伊藤家の祖先が新潟と会津地方の交易により阿賀野川とのつながりが深い事から、北方文化博物館が引き取りを申し出たそうです。
お面の大きさは、縦53cm、横35cmで、鼻の高さは23cm。朱塗りはほとんどはげ落ちているものの、ほぼ原形をとどめています。

ふかみどり
ふかみどり

Googleマップで、天狗の面が流れ着いた小阿賀樋門と北方文化博物館の距離を調べてみると、1.2kmと近くて驚きます。不思議な何かのご縁でしょうか。

その他の見どころ ── 四季の庭園と歴代当主のコレクション

名庭師が造りあげた「回遊式庭園」の大庭

北方文化博物館「庭園」

大広間の南面に広がる「回遊式庭園(庭園内を歩いて巡りながら鑑賞する形式の日本庭園)」も、見どころのひとつです。中央の池泉に各地の名石を配置し、庭園内には5つの茶室があります。(茶室は非公開)

こちらの美しい庭園と茶室のほとんどは柏崎市出身の田中 泰阿弥(たなか たいあみ)により、5年がかりで造り上げられました。田中泰阿弥は銀閣寺の2つの清泉の石組の発掘復元や、全国各地の寺院や名園を手掛け、孤高の庭匠とよばれています。

四季の庭園・花の見ごろ

  • 〈春〉… 4月中旬頃にソメイヨシノとしだれ桜が開花、4月下旬頃に八重桜が開花します。5月初旬からは樹齢150年になる大藤、第二庭園の「八藤園」の八つの藤棚の開花が始まります。
  • 〈初夏から〉… 6月中旬からつつじの花が満開になります。そして6月下旬から7月にかけて、古代ハス(大賀ハス)が花をつけます。
  • 〈秋〉… 11月半ばから下旬頃に紅葉が楽しめます。(朱赤、黄色、松葉や苔の緑色のコントラストが美しく見事です)
  • 〈冬〉… 真っ白な雪におおわれた雪景色になり、趣きがあります。(雪の重みから植物を守るための雪吊りが冬の風物詩です。11月の下旬から1か月かけて作業が庭園内で行われます)

歴代当主のコレクションや文献を展示

建物や庭園そのものが展示品となる北方文化博物館。その他にも、歴代当主のコレクションや文献をはじめ、戦後の私立博物館 第1号となることを契機に、7代・8代目の当主が高い志を持って収集をしてきたすぐれた作品が展示されています。
北方文化博物館「徳利、大盃」

大広間に展示されている「徳利(1斗2升入り)」と「大盃(8升入り)」。年始の際に、親睦をはかるため使われたそうです。

主屋の2階の板敷の間は、かつては一部が物置、残りはふとんや雑巾を作ったりした作業室になり、子供の遊び場でもあったそうです。現在は、「考古資料室」として使用され、伊藤家当主の年表、家系図などの文献や、博物館となってから集められた出土品などが展示されています。北方文化博物館「考古資料室」

「考古資料室」に展示されている大きな杉材の丸木船。昭和26年に新津市の川根遺跡から発掘され、約1000年以上を経過したものと推測されています。

北方文化博物館「帳簿」

伊藤家の帳簿の一部が展示されています。生き生きとした文字に、はっとしました。

北方文化博物館「考古資料館 天井裏の梁組」

「考古資料室」(主屋の2階)の天井。何重にも重ねられた梁組が高い屋根裏を作り出しています。上部の窓は、戦時中に空襲を察知するために物見やぐらとして使われたそうです。

広い館内の西北に、白壁と張り瓦の美しい土蔵作りの建物「集古館」があります。もともとは米蔵になり、年間約2000俵の米と大豆が積み込まれていたといわれます。戦後は歴代当主が収集した書、絵画、古美術などが展示され、日本文化だけではなく世界の文化も知る必要があると考えた伊藤家のコレクションを今も見ることができます。
北方文化博物館「集古館」

「集古館」。今は2階造りになり、1階、2階ともに美術品などが展示されています。

「北方文化博物館」基本情報


住所:〒950-0205 新潟県新潟市江南区沢海2丁目15-25
開館時間:9:00~17:00(12月~3月は16:30まで)
観覧料:大人800円、小人400円(小学生・中学生は、日曜日・祝日は入館無料)
休館日:火曜日(祝日は開館し、翌日休館)※4月・5月・10月・11月は無休
駐車場:有(無料)

豪農の館「北方文化博物館」
豪農の館「財団法人 北方文化博物館」 越後屈指の大地主、伊藤家七代の歴史と、新潟の地方文化を伝えます。
ふかみどり
ふかみどり

『鬼滅の刃』ファンにとっても、魅力的な聖地巡礼スポットです。
紅葉や雪、藤の花の季節などに、また行ってみよう~と思います。
ぜひ、作品の世界観と、癒される空間を体験してみてください!

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